函館にはゆっくりとおだやかな時間が流れてる。この都市を訪れる多くの方々はそう仰るし、店主もそう思ってる。表現が面倒なせいかガイドブックや観光ポスターになる事はないが、とにかく函館の本質が時間にあるというのは間違いない。年末年始、人々は去りにし過去を悔いたり明日に希望を抱いたりするわけで、この小さなギャラリーでも時計や時間の企画展を恒例にしてきたのである。
佐藤国男さんと丹保健司さんは函館在住だ。佐藤さんは彫刻板絵の時計、そして丹保さんは木やステンレスの枠にガラス玉を埋めた文字盤の時計である。名付けた大仰なタイトルに我ながらたじろいでる店主だが、それを救ってくれたのが東京在住リビングワールド西村佳哲・たりほ夫妻だ。砂時計という隠しワザで「100kgの塵が宇宙から地球に降る時間」や「太陽光と月光が地球に辿り着く時間」、「百個の星が宇宙から消える時間」「フリーダイビングの世界記録が水深100メートルを超えた際の潜水時間」などという魅力的な「可視化された概念」を出展してくれた。また国立天文台の協力を受け、ガラスキューブに8万個の恒星をレーザー彫刻した「太陽系のソト/銀河系」という美しい作品もある。
百億年単位でゆっくり離散集合する宇宙の法則の中に、砂粒よりも儚げなギャラリーの日常が組み込まれてるらしいのを感じてとてもおだやかな気持ちになった。目覚めさせられ、未熟で愚かしい人類である事もしばし忘れ、神の視線に似た悠久の時間を見せてもらった気がしている。
「函館時間・地球時間・宇宙時間展」
1月3日から29日まで
10:00 open / 19:00 close
水曜定休

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