このところ快晴無風、おだやかな毎日が続いてる。枝から離れた銀杏や桜の枯葉などまっすぐそのまま地上に着地する。今日もそうなのだが、昨日の定休日もそうだった。
これはそんな昨日のはなしだ。店主は函館の隣まち北斗市のある寺を訪ねた。実は土方歳三が秘かに葬られた寺があるという、誠に聞き捨てならぬ情報に接したのだ。新撰組副長として名を馳せ、五稜郭戦争で壮絶な討ち死にを遂げた土方だが、その眉目秀麗な一枚のポートレートのせいもあり今でも大変な人気者である。事実であれば全国から"歳さま詣"で沸き立つであろうこと間違いない。
司馬遼太郎"燃えよ剣"では、武士時代の終焉を悟った土方は部下数名を従えて新政府軍陣地に切り込むが、函館市若松町、かって一本木と呼ばれた場所で敵の銃弾に倒れる。しかしその後がわからない。誰かが敵の手に渡してなるものかと運び去ったであろうが、その遺体がどこに運ばれ埋められたかが未だ解っていないのだ。
聞いた情報によれば、土方に続いた一人がこの寺に縁のある剣の達人、彼が秘かにこの寺まで運び埋葬したというのだ。近くである峠下や中山峠でも土方は獅子奮迅の活躍した歴史事実もあり、これはありうる話に思える。
あいにく住職は留守、そこで妻女と思われる方に訊ねたのだが「ここは200年の歴史ある寺ですが、そんな話しは聞いたこともありません...」と言下に否定された。旧幕軍やその協力者、内通者に対する新政府軍による血の粛清があったわけで、女性のそのあまりにもきっぱりとした言葉と態度に、「他言は無用ゾ、おのおの方!」といった言い伝えが今も連綿と続いてるらしい気配も...。墓地を歩いてみたら刻字も苔に埋もれて読み取れない古びた石碑もアチコチあって、そこらからもなんだか土方さんの声が聞こえてきそうで...。

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