森町濁川で

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 函館からなら車で約1時間、噴火湾沿いの国道から左折して幾重かに曲がりくねった峠道を走るとそこが森町濁川だ。周囲が山に囲まれた盆地で、典型的なカルデラ構造である。集落らしき部分もあるが、7軒の温泉や地熱利用のビニールハウスや水田などがのんびりおだやか、まるで隠れ里の様に散在する。立ち寄った森地熱発電所の担当者に説明を受けたのだが、ここは土砂が噴火口を埋めて出来た土地なわけで、炭火コンロの上の網ワタシというイメージも湧いてくる。
 地熱発電だが、積もった雪や降った雨が地下深くに浸透しマグマに触れて加熱され、高温高圧状態で地熱貯留槽に大量に蓄積されてるそうだ。そこに3千数百メートルの金属パイプを打ち込み、蒸気と熱水を地上に取り出しこれをエネルギーにして発電機を回転させる仕組みだ。そして使用済みの廃水だが還元井で再び地中深く戻され、これもやがてまたマグマに触れて加熱加圧されて...、と、H2Oは固体になったり液体になったり気体になったりしつつ、地下のマグマが存在する限り幾度も発電作業を助ける事になるのだ。
 こうした地質工学的な仕掛けを頭の中で思い描くととても平穏な気持ちになる。カネがカネを生むという詐欺行為を金融工学と称して無反省にむさぼり食った資本主義、そうして作り上げた借金にまた借金を重ねて気が付けば天文学的な底なし地獄にはまり込んでしまった人類、その一人であるけれどしかし少しだけ救われた気分が湧いてくる。

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