2009年1月アーカイブ

IMG_3984.jpg 今朝の7時半、道路につもった雪をキュッキュッツと踏みしめながらいるかビル定点観測地点に行ってみた。強い寒気につつまれ、見慣れた函館の町並み風景が身を寄せ合い身じろぎせずじっと耐えている姿が見える。大森浜に目をやると朝日を受けた海面に気嵐が舞っていたのだが、先日その海峡の向こう側から雪と幻想をテーマにした小説原稿がドドーンと届いた。今年の応募は千通を超えそうな勢いだという。で、店主もここしばらくギャラリー片隅にあるヒーター前でぬくぬく五里霧中の幻想世界を漂うことになる。

 アメリカ人アロマセラピストであるアンドレア・グッドさん翻訳および発音指導、アジアのエンヤとして人気のイミ・オウイさんが歌ったCD「般若心経」の話を以前ご紹介した。そのせいもありギャラリー在庫はすぐ売り切れたのだが、後日アンドレアさんはCDを届けつつとても興味深い話を聞かせてくれた。
 アンドレアさんは親の代からのカトリック教徒だ。ギャラリーに立ち寄る様になったのも元町カトリック教会日曜礼拝帰りがきっかけである。そのアンデイさんはチベット仏教にも深く傾倒しているのだが、両親の住むサンタフェで偶然出会った僧が縁者だったというのがきっかけでネパール南部密林の瞑想少年Palden Dorgeを訪ねてきたとおっしゃる。このブッダ少年のそばで1週間ほど過ごしてじっくり観察したくさん画像に記録、店主もそれらをじっくり拝見させてもらった次第だ。
 少年画像はいずれご紹介するとして、ここではアンデイさんがその帰途立ち寄ったマレーシアのイミ・オウイさんスタジオでのツーショットをご紹介しておく。二人が協力して作った般若心経CDを静かに聴いていると、カトリックにチベット仏教にネパールやらマレイシアやサンタフェや函館元町やらが浮かび上がってくるが、そうした混沌のなかから何かとてもあたらしい調和が生まれ来るのを感じる。
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 北海道十勝の生まれだ。広大な十勝平野のほぼ真ん中にある音更町である。夏には30°c、そして厳冬期にはマイナス30°cにまでなる。とりわけこの寒さだが放射冷却現象と呼ばれ、地上に漂っていた温度がすべて大気圏の彼方に吸い取られ、隣国ロシア産筋金入り寒気団と入れ替わることから起こるそうだ。こんな日、空には雲がなく地上には微風もない。空気は凍ったまま微動だにしないのだ。人や馬や羊までも空高く昇った太陽が凍った大気を弛めるまで、つまり午前中はそんな圧倒的寒気に囲まれながらじっと息を潜めて過ごすのである。しばれるねえ...などと挨拶し合いながら。
 そんなわけで、故郷を離れて「たまらない寒さ」というのを感じたことはない。風土が育てた体質を実感し続けてきたものだが、しかし今朝の函館は寒かった。ようやく函館の風土に馴染んだというのか、とにかくとてもしばれるのを実感した。
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 世界中が騒然としている。言わずと知れた金融メルトダウン症候群だ。物々交換に代わって便宜的に発生したものだろうが、そのマネーが増殖し巨大化し、気がつけば肝心の実体経済をすっかり乗っ取ってしまったらしい。過去の記憶や未来の夢をはじめ、質や価値や想いの多様性が姿を消し、貪欲マネーが主役になりひたすら別なマネーを求め合ってるわけだ。

 紙幣や硬貨は別にして投資家や投資銀行間を動き回るマネーには質量がない。それはただの数値として電線や光ファイバーに乗り瞬時に行き来する情報だ。情報としてのマネーたちだが、マーケットを舞台にやがて次第に偏在し集中し巨大化する。質量を持たないはずのマネーが、しかしこうなるととてつもない重力を持ち始め、やがてブラックホールとなり、周辺に存在するあらゆるものを飲み込む。個人的良心、アマゾンの熱帯雨林、アルプスの氷河、オゾンホールなど何でも飲み込む。光まで飲み込むわけだからいったい我々に何が起こってるのかさえ見えなくなる。

 この企画展は2008年正月も開催した。新年にとてもふさわしい催しだと気に入っている。先に書いた金融メルトダウンだが、こうした災厄はそもそもが全ての質を量に還元してしまったその結果だろう。すべてをマネーに還元したからだ。これは時間にだって言えるわけで、量的な概念としてしかみなかった時間にも実は多様な「質」があったはずなのだ。だから新年くらいはじっくりとその多様で豊かな時間を取り返し、触れ、勇気を取り戻してほしいし未曾有の危機を乗り越えてほしいと願っている次第だ。リビングワールドの西村さん、佐藤国男さん、丹保健司さんは昨年に続いてだが、今年新しく川添洋二さんが「時間採集」と「結んだ時間」という印象深い作品を出展してくれた。

開催は一月末日まで

10:00 open  /  19:00 close

水曜定休


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IMG_3835.jpg これは昨日のこと、ハリストス正教会の元旦ミサに参列してきた。函館やそこに流れてるロシアの系譜を作品にしている小説家を新しい司祭さんにお引き合わせするのが主目的...といっても、店主だって着任早々ロシア人司祭さんとはまだ面識がないのだけれど。
 ドーム型聖堂に鳴り響くニコライ・ドミートリエフ司祭の低音や聖歌隊の高音にうっとりしてる間にミサは終了した。普段着に衣替えされた司祭さんに、自己紹介を兼ねながら小説家を紹介したところ、続いて開かれる信徒会館での宴に招かれた。 テーブルには信者の方々が持ち寄ったご馳走がたくさん並んでいる。もちろんビールやウオッカも。それぞれの自己紹介があり宴は楽しく進んだ。モスクワ生まれの司祭さんはウオッカをチクリとやりながら、アルコール度数40°には意味がありこれ以下なら凍って瓶が割れるし、以上なら内蔵が壊れる...というような有り難い話を披露してくれた。当初の目的はもちろん、旧知の方やいずれお会いしたかった方とも語り合え、小説家ともども結局最後まで楽しんだ。本当に和やかな暖かさに満ちた宴だった。

 2009年の函館はこうして明けました。午前7時半、くもり空ですこし風もつめたいな。

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