逆流するほど沢山の文字を読んだばかりなのに、目はまだ文字を求めてるらしい。昼間はもちろん、夜中に幾度も目が覚めて本に手が伸びる。今は、池澤夏樹「パレオマニア」だ。昨年廃刊になった日本版プレイボーイで作者が追悼の言葉として触れていたのを読み、いささか気になっていた本である。
「パレオマニア」は古代妄想という意味だそうだ。ひとりの男が大英博物館の展示品から受けた感動をもとに、その様々な人類史的遺産の生まれ故郷を訪ねるという形になっている。その底流にあるのは、進歩と称して絶望的にゴミと借金まみれになった現代文明批判であるのは間違いない。文中"大事なのはよいものが残ること。作者の名がなくてもそれ自身の力で生き残るようなものを作ること。"とか"エジプトだけでなく、どこの国も三千年の後にまだ見るに値する神殿なんか造ろうとしていない。百年後だって怪しいものだ。人類はその日暮らしに堕ちた。"とある。
著者の池澤夏樹、生まれたのは帯広だ。だからというわけでもあるまいが、著作からはとても親しい空気を感じる。「ステイル・ライフ」「静かなる大地」や「たのしい終末」「イラクの小さな橋を渡って」など、彼の敏感に時代を読み取り慎重に選んだ言葉で紡ぎ上げた世界に強く共感する。

歴史の街文化の街を標榜しつつ、その紛れもない歴史的建築物を廃棄物処理場に送り、子供たちのためと称して巨大な借金を背負いこんで恥じない函館市教育委員会の方々には特にお薦めしたい。

店主さま、そういえば今月中旬より函館にお邪魔します。
トータル20何回目か、30回を過ぎているのかカウントすらできなくなってしまいましたが、青柳町にある歴史的建造物を重点的に『じろじろ』する予定でおります。こちらも店主さまの仰る、廃棄物処理場送りと巨大な借金というパターンに近い将来なるか少し不安な物件ですね・・・・・。
あと個人的には教育委員会の皆様には、東京都内に数多く残る戦前築の小学校建築も見ていただきたいものです。築80年~70年の校舎がごく当たり前に使われています。東京にできて、函館にできないということはないと思うのですが。
東京都下・まちだ様
学習しない教育委員会というのも何だか言語矛盾なような気がしますが、しかしこと函館に関して言えばこれが実態なのです。もちろん優れた見識や良心を備えた職員がたくさん存在するのは事実ですが…。
今月中旬のご来函を心からお待ちしています。