ステンドグラスが日本にやってきたのはほぼ150年くらい前のこと、文明開化洋式居住空間とともにやってきたはず。なかには小川三知の様な優れた作家も現れたけれど、純然たる手工芸のせいで作品数は極めて少なく貴重品だった。その隙間を埋めたのが輸入物だが、それとて多くは工場生産の量産品だった。戦後のカルチャー教室ブームのなかでステンドグラスはたいへん人気を博す事になったが、そうして奥様やお嬢様手作り憧れ派というのが氾濫する事になる。粋な黒塀和風邸宅に荘厳華麗ゴシック薔薇窓が出現したりする。もちろん何が良くて何が悪いというつもりなどないが、こうして我が国のステンドグラスは150年もの間「繋ぎ合わせた色ガラスの集合体」であり続けたわけ。
優れた素材ガラスは四季折々、時々刻々、表情をドラマチックに変える。「ステンドグラスはそうした変化を楽しむというのが基本です...」と石戸谷さんからうかがった。「ステンドグラスと厭きずに長くつきあう」秘訣である。絵画は絵の具を混ぜる事でどんな色でも自由に作れるが、ステンドの場合は素材としてのガラスを手元に所有してるかどうかが重要、なければ使いようがないのはオカネといっしょだ。優れた素材が作品の出来映えに大きく影響するのである。
もうひとつの絵画との違いは、設置する内部だけでなく外部環境にも合わせた作品構成が必要という点だ。濃淡あるがガラスはガラス、外部景色や雰囲気を微妙に映し出すのだ。風にそよぐ緑の木々や、新雪の朝の輝く雪景色などを背景にしたステンドグラスはそれぞれがとても美しい。内部にありながら作品をを通して外部を窺い知るというのがステンドグラスの得意技なのである。
これらに加え、石戸谷さんの作品には特殊な技法を駆使した絵付けが施されている。デイジーやタンポポやキツツキや鹿など、北海道の自然が見事に再現される。この度の作品展、テーマは「魚」なのだが、6月1日解禁日に茂辺地川で遊んでもらったヤマメやイワナがモデルになっていて、降り続く雨のせいもあってか実に生き生きと嬉しげに泳ぎ回っている。
石戸谷 準のステンドグラス"魚たち"展
8月22日まで
10:00open/19:00close



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