何年も前だが、山形県鶴岡市の教育委員会に招かれ、とても心温まるおもてなしをいただいた。その時に紹介されたのがこの"しな織り"である。山形県と新潟県の県境の山間地帶に細々と伝承されていたシナという木の繊維から織り上げた布である。芭蕉布、くず布と並ぶ日本の三大古代布のひとつなのだが、ご多分にもれず絶滅危惧種状態。鶴岡市の老舗呉服商・石田誠さんが人生をこれに賭け、普及紹介に努めている。
春先にシナノキを伐採して、樹皮を剥いでその甘皮を剥き、乾燥させたり水に浸けたり木灰と一緒に煮たり糠につけたりしたものを、細く裂き、繋ぎ、紡ぎして仕上げたのがシナ糸だ、ここまでで半年かかるのだが、それを平織りしてやっとシナ布は完成する。アイヌの衣装である「アットウシ」なども同じ系列に属するが、みればはるか縄文人たちの衣生活が甦る。
石田誠さんはそんな素材を優れたデザインの帽子や鞄や日傘や暖簾や帯などに仕上げたわけで、まさにしな織り中興の祖である。
木の皮で織った古代布"しな織"展
8月1日から10日まで
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